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気ままな生活

映画、音楽、読書、美術、旅行、食などの生活。

氷の花火 山口小夜子

映画
2016年初頭は、「自分らしく、美しく生きた人達」を描いた作品を劇場で3作続けて観た。

その1本目は、世界的なモデル・山口小夜子の生涯を追憶するドキュメンタリー。
安藤裕子の頂き物のビジュアライズの元ネタでもある。

山口小夜子の「美」を求めるアーティストとしての感性・その姿勢は、音楽や映画作家となんら変わりがない。芸術の表現方法としてファッションを選んでいるだけだ。
前髪を揃え、まん丸な瞳をメイクでキレ目に変貌させた彼女の立ち振る舞いは、息を飲むほど美しい。

劇中後半、彼女がモデルとしてのステージを降りスピリチュアルな方向に走った時には、劇中の山本寛斎と共に観客もドン引きして映画としてのテンポも悪くなる。

しかしそこを乗り越えて訪れる最大の山場は、モデルの松島花の力を借りて、かぐや姫をもう一度月から呼び寄せる「永遠の小夜子プロジェクト」。生命が尽きても、美という表現が現代に受け継がれる瞬間、人という歴史が刻まれる瞬間に立ち合ったスタッフと共に涙してしまった‥

ドキュメンタリーは時に、どんな映画よりもエモーショナルな「映画的瞬間」が訪れる。
モデルやファッションに興味がなくても、映画という「芸術」が好きならとても楽しめる一本でした。