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気ままな生活

映画、音楽、読書、美術、旅行、食などの生活。

悪童日記

読書
映画化もされたけど(未見)、アゴタ・クリストフの原作をようやく読みました。

双子の日記という形式で、戦時中のハンガリーでの劣悪な生活環境とそれが巻き起こす人間の醜さと愚行を、双子が観察したままの姿、平易な文体で淡々と記されていきます。

狂気を帯びていくのは大人だけではなく、双子たちもまた同様。「生きるために」大人たちを利用し、平然と悪業もやってのける彼らですが、感情を失ったわけではなく。
無意識的に同情を覚えた相手は助け、彼らなりの道徳に反した人間には裁きを与えます。戦時下にあっても、いや戦時下だからこそ人が生きる権利、ヒューマニズムは存在するという話。

強姦・殺人のオンパレードで、不意打ちでゴア描写が入ってきたりしてなかなか残酷。母親が唐突に、惨たらしく死ぬ様は富野も影響を受けているのか、イデオンのカーチャの死で脳内再生されました。

百年の孤独ブリキの太鼓のように元気なおばあちゃんが家を守る話でもありますね。冷酷で決して善人ではないんだけど、生きることに正直で、ことあるごとにメソメソ泣くといういいキャラクターしてるおばあちゃん。

決して明るい話ではないですが、2時間強で面白く読める内容でオススメです。
ところでマザー3の元ネタであるリュカとクラウスという双子の名は本作では登場せず、続編で出てくるのだね。