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ウィークエンド

ゴダール映画で「面白い」作品なら迷わずこれや。

グロでエロくて政治色でエンタメで静寂で激しく暴力的で美しくて不快でポップでシュール、、ゴダールの商業映画ここに極まれり。

気狂いピエロや中国女と同じく、ゴダールの色彩感覚は原色が際立ち、常に暴力的なポップさがある。そこに構成力が加われば既にアート映画として完成されているので、もう話の大筋も内容も必要ない。

とにかく話のモラルのなさが酷すぎて、ブラックコメディとしてあまりにギリギリ。主人公たちが車泥棒に失敗したり赤の他人をしばいたりしばき返される度にゲラゲラ笑えるのだけど、それだけでは飽き足らず普通にレイプも殺人も巻き起こる。マッドマックスの世界観と登場人物達の方が一億倍倫理観あるよ。

最初の車をぶつけるシーンからもう笑いが止まらない。この映画は全編にわたって罵倒の翻訳が冴えまくっていて、クソガキの「嫁もポンコツ」で一笑い、続いてナチュラルに当て逃げして笑い、「ブルジョアの豚!」と嫁が婦人を殴りかかるのを見て笑い、主人が現れるや否やいきなり猟銃で発砲、一連のスピード感で大笑い。
この1分ほどのワンシーンだけであ、この映画頭がおかしいんだな。ということは容易に理解できるし、ゴダールの映画に関する狂人的なセンスも窺い知れるというもの。

そして本作の大きな特徴としては、2回に渡って登場する長回し
1回目はあまりにも有名な車の渋滞シーンで、レヴェナントのルベツキも影響は少なからず受けているはず。
せっかくの週末を長い渋滞で時間を無為に過ごしてしまう僕らは、人に倣って意味もない行列に並んでいることで、言葉通り、終末に向けて人生をどれだけ無駄にしていることか。

もう1つのシーンは、モーツァルトのピアノ・ソナタ 第17番 ニ長調 K.576の演奏が延々と流れるシーン。何ともない場面だけど、映像の美しさも相まって非常に印象的。

見返してみて、動物が理不尽に殺されるシーンが映ったり、森でのレジスタンス活動だったり、やっぱりロブスターはこの映画の影響がかなりあるのかなーと思ったり。
あの映画はカオスの中にしっかりと主題が打ち込まれているから好き。

こっちは政治的な表明→ブラックコメディのシーンが交互にやってきて非常に疲れるけど、とてもポップで楽しく、ゴダールの中では5本の指に入るぐらいにとても好きです。